29. サイゴン

29. サイゴン

良い音楽は不必要な夜更かしを助長し、光を陶酔に導く。

光よりも、影があったほうがよい。濃い影は、少しの光を際立たせる。

朝起きて、バイクを返し、ピザパンとオレンジジュースを飲む。

街を歩く。相変わらずタクシーやバスが忙しなくバイクにクラクションを鳴らす。

一日中、本を読んだ。

サイゴンが1番長い日。

バカ・コーヒーという、文字通り馬鹿げたコーヒー屋で、生粋のベトナムコーヒーを飲む。缶コーヒーのようだ。

夜飯は、カルボナーラの大盛り。玉子とクリームが美味い。

主人は、何人も持つ方が良い。私のナルシストは、時々は引っ込めた方が良い。

寝台列車でハノイへ。

寝台は、一部屋四つ。おっさんだらけだ。掘られないか心配だ。身体がだるい。筋肉痛のようだ。熱っぽい。

ベッドは、進行方向と垂直なので、居心地はさほどよくない。

考えてみれば、これで東南アジアはおさらば。