2013年11月29日金曜日

21. バンコク

21.  バンコク
くしゃみがとまらない。

朝起きて、マックに。タイ人は居なかった。高橋さんは、美味しそうにポテトとフィッシュバーガーを食べた。マックのポテトは全てロサンゼルスで切って揚げて冷凍輸出らしい。へえ

クリスと待ち合わせ、屋台で辛いヌードルを食べた。クリスのコンドミニアムで泳いだ。コーヒーを淹れてくれたので、ベランダでたばこと一緒に飲んだ。
19階、一ヶ月5500ドル。
彼はオリーブオイルをモンゴルへ輸出する会社のオーナーだ。リッチである。今夜はソファに泊めてくれるそうだ。そうそう無い機会なので、お言葉に甘える。

彼はこの後、彼女とハロウィーンの衣装を買い、バドミントンをするらしい。

その間に髪を切り、シャツとキーボードを買うつもりだ。


さて、私は今、伊勢丹の前の広場に腰掛けている。結局散髪にはいけず、いろいろ買い物をしただけで終わった。幸いにも、シャツとサンダルとキーボードは手に入った。で、私は今腰をかけているというわけだ。

目の前の歩道には屋台がずらっと並んでいる。おばちゃんが経営するお弁当やさんで弁当を買う。40バーツおよそ120円。隣にはお惣菜屋。おばあちゃんが一人で切り盛りしている。おばちゃんはお隣のおばあちゃんと楽しく世間話をしながら、ときに無愛想に客を待つ。
おばあちゃんは商品のイカ焼きをつまみながらニコニコ笑っている。道ゆく人々を目で追いかけたり、缶ビールをストローで飲んだり、真剣な顔をして扇風機の不具合と睨めっこしたり、無意識さに任せた行動がなんとも人間臭くて愛嬌がある。ばあちゃんはVISAのテントをつかっている。とても、カードを受け入れるられるとも思えないのだが、全く気にするそぶりがない。
この屋台はタイヤが付いていて、リヤカーのように持ち運べる。鍋は、土瓶のようなものに炭を燃やして温める。水道設備は無い。クーラーボックスに氷を敷き詰めて食材や、飲み物を冷やす。屋台を照らす電灯は、発電機を共有している。焼き鳥屋、寿司屋、土産物屋、クレープ屋、弁当、惣菜、食堂と、バラエティ豊かで、歩道を我が物顔で占領する。この営みを観察しながら飯を食うのは、なかなか楽しい。客も様々で、観光客、親子連れ、カップルなど、あらゆる人が利用する。

目の前には、明らかにゲイのインド人がいる。クレープ屋だ。ナヨナヨした声で接客し、周りに比べると明らかに活気がない。濃い焦げ茶色の肌に浮かぶ白い目はいまにも泣きそうな表情で、繁盛している様子はない。そして、何処かへ行ってしまった。辛いものを食べた後だから、バナナクレープを注文するつもりだったので、少し残念だ。

私は、席を立つ。

帰り道、ゲイのクレープ屋がいた。慣れた手つきで、真剣にクレープを作る。赤ちゃんの拳ぐらい白い団子を、ピザのようにペタペタすると、スカーフの様に薄い生地が出来上がる。スプーン大さじ一杯分ぐらいの油を中華鍋のような丸みを帯びたプライパンで温めた後、この柔らかくなったスカーフを優しくかぶせる。その間に具を仕込む。左手で持ったバナナにペティナイフをすべらせ、缶の中に落とす。缶の中に卵とシロップを加え、かき混ぜる。
タイミングを見計らって、クレープの入ったプライパンにジャーっとやる。焦げ目がついてきたら包み、裏返し、パリパリしたところで、皿代わりの紙の上にあけ、綺麗に16等分する。上から、ミルクシロップを垂らし、蜂蜜をたらし、串をさして出来上がる。

生地がこねられてスカーフになるところや、パリパリのクレープを大きなスプーンのようなヘラでカットするところの手際は、実になかなか真似できる芸当ではない。

こんなに見事なのに、彼は屋台の連中からのけ者にされている感じがした。ゲイだからか、 インド人だからか、彼は、私にクレープをつくっっている間ずっと隣の屋台のガキどもにちょっかいを出されていた。怒鳴り散らせば良いものを、気が弱いためか、されるがままだ。
まだ、3、4個しか作っていないのに、また、場所を変えてしまった。

あとあと、考えてみると、彼からクレープを買っているのは観光客だけだった気がする。こっちの人は、用を足したあと、ホースの水と左手を使って尻を拭く文化がある。ひょっとしたら、ゲイだからという理由だけではなく、それが災いしているのだろうか。

人生で一番大切なものは、食事。こころがけているものは、シンプル。18の時に南アフリカへ留学し、エメラルドのバイヤーをやり、1年後には億万長者になったという。その頃一緒に仕事をしていた連中は、一人を除いて全員死んだという。山のオーナーは互いにいがみ合っていて、その二つからエメラルドを買ったという。やがて、大きな石だけを買い、顧客も10人に絞り、アノニマスなビジネスに縮小した。
 4ヶ国後は、完璧だという。英語、ロシア、中国、スペイン語が完璧になれば、世界で通用する。ふーむ

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