2014年5月17日土曜日

guilty of romance

園zionの映画。
狂言回し。


変態の話。
自殺サークルの匂い。魔女っ子クラブが。


チャンネーが、ホテルのシャワールームでセックスしている。シャワーの雨。曇るガラス。こちら側から覗く視点。


anyway, 女が死ぬ。
ウジの沸いた女のバラバラ死体。マネキンとくっついている。
生きたウジとリアルな死体を使ったグロ描写で、食いつきはバッチリ。


徐々に明らかになる女性の身元。


作家の妻。
几帳面なスリッパの整え方。紅茶。何度も繰り返す日常。広く綺麗な家。それはそれは如何にも立派な家。白い和服。
物足りない何か。やりがいのなさ。空っぽの心。
スーパーで試食のアルバイト。モデル業。褒められる女性らしさ。ぎこちないセックス。
目覚め。何かわるいもの。




男との出会い。
白いコートにボーラーハット。さながらアレックスのようだ。靴はマーチんだろうか、そこまでみてない。ピンクのカラーボール。運命的に近づいてくる男。スケコマシ。ジゴロ。
彼は彼女を支配する。
性と暴力による支配描写は、園zionお手の物。冷たい熱帯魚を思わせる。
旦那の(性的な?)パワーが無いと、いつでも女は支配されるのだ。近頃の女は、慣習など古くさい事に縛られない。バルザックの女だからな。


再び女刑事。


女との出会い。
彼女は、大学教員。
「言葉なんかおぼえるんじゃなかった
日本語とほんのすこしの外国語をおぼえたおかげで
ぼくはあなたの涙のなかに立ち止まる
ぼくはきみの血のなかにたったひとりで帰ってくる」
「言葉おぼえたおかげでぼくはあなたの涙のなかに立ち止まる
ぼくはきみの血のなかにたったひとりで帰ってくる」

彼女は、父親に対する性的なコンプレックスがどうたらこうたら。
典型的なエレクトラコンプレックスというやつ。
彼女の父親は芸術家。娘を溺愛し、ヌードの絵なんかも描いている。
性交渉を迫る娘に対して、カフカの「城」を渡す。

私のペニスの代わりに、この本をあげよう。という感じだろうか。

よう分からんが、彼女にとって「城」こそ父親の愛なのだ。
「城」を巡りながらも永遠に辿り着けない娘。

ある冬の晩、主人公のKは雪深い寒村の宿屋に到着する。この村はW伯爵の城の所領であり、Kはこの城に雇われて来た測量士であった。宿屋で一夜を明かし、翌朝に城を目指すが道が分からず、散々歩き回った末に夕方宿屋に引き返すしかなかった。城の雇われ人夫だという者に聞いてみると、許可がなければ城に入れないという。城の執事にやっと電話が繋がると、おまえは永久に無理だろうという旨のことを言われる。城からの使いだという者が来てKに手紙を渡し、直接の上司は村長だという。村長を訪問すると、城では全く測量士を必要としていないと言い、村の行政機構の仕組みを長々と話して止まない。宿屋に戻ると村長からの使いだという者が来て、Kに測量士としてではなく、学校の小使としてなら雇えるがと伝えてくる。Kは仕方なく引き受けるが・・・と、いつまで経っても測量士Kは城に入れないのであった...」


父親はとっくに死んだ。彼女が売春(父親=城 探し)を決めたのには、父親の死がトリガーになったのではないだろうか。


話を、小説家の妻に戻す。
彼女は、AVに出演してから、自分の魅力に気付き、目覚め始める。暴走。影の暴走。
女の影は濃い。暴走は止められない。
彼女は、大学教員の女に弟子入りする。

「愛がなければ金を取らなければいけない」
それに反して、金を受け取る女を蔑む男達。男達は、愛を求めているんだ。偽りでも、愛の形のしたものが欲しいんだ。愛を求めて軟派する男達を、彼女は一層蔑むようになる。
なぜなら、彼女は売春をすればする程、夫への愛を確信するからだ。

反作用が強まれば強まる程、内部で作用が磨かれる。
影を濃くすれば濃くする程、本質も実体を帯びてくる。
そう信じているかのようだった。



女刑事も浮気をしている。旦那の友人に性的に支配されている。娘が居るにもかかわらず。背徳感を楽しむというよりも、純粋に被支配に溺れている女性である。
母親としての彼女と、女としての彼女。
母親らしい母親、その裏側に潜む二面性という点で「紀子の食卓」と通ずる部分がある。

この監督は、
家族
暴力、男
セックス、女
自己実現(たいていは「間違った」方向)
支配
what else...
が得意ね。

ま、いいや。

女刑事は、どんどん事件の真相に真相に食い込んでゆく。
この事件は他人事ではないと実感する。対岸の火事ではない。
身を燃やされる思いで、冷静に城に近づいてゆく。一方で、女刑事の過去へ潜る事は無い。(大人の都合かな)彼女の過去が垣間見えるのは、現在の浮気相手との出会いの経緯のみ。だが、演技から深層への内省を窺い知る事は出来るかもしれない。
クラリスに対応するレクターのような指南役は登場しない。刑事。彼女の上司は居ない。彼女は、純粋な脳と手足を動員して動く。完全な彼女を支配するのは、暴力的な性の支配、要するに浮気相手の性的魅力。なぜ、彼女の旦那はだめなのか。下手なんだろうな。ひとり娘だし。浮気相手は、車で移動する。遊牧民。失う物は何も無い。彼女に取ってのトリックスターだろう。



ピンクのカラーボール。

小説家の妻は、大学教員の女の母に会う。通過儀礼だろうか。
その後、魔女っ小クラブというアレに所属する。
そして、皮肉にも、旦那が客になる。旦那への愛は消え失せる。


で、大学教員の女は、その母に殺される。
ジゴロは首吊る。

事件は解決。

エンディングは、ゴミ収集車を追いかける女刑事。
日常を追いかけていたら、知らない世界に来てしまった的なやつ。




#カフカの城
#ジゴロ
#売春
#円山町五丁目
#たちんぼ
#二面性
#エレクトラコンプレックス
#ゴミ収集車
#つまらない日常
#心の乾き
#ロマンスというシャブ


東京暮色

東京暮色

コノワタやら牡蠣やら男が二人、飲み屋。
東京暮色
旦那が店を出るときに映し出されるハットのカット。物体に説明させるカットの好例。

男はウーンしか言わない。
いや、そもそも喋る人間と相槌を打つ人間てやつがいるもんだ。だいたいみんな、相槌ばかり打ちたがる。

場所を明示する写真のような静止画は3つで十分。ひとつ6秒。

若い奴がたばこを吸う時、大体気合いが入っている。年寄りは、悩む人間は、ぼんやりたばこを吸う。
雨の振るシーン。26:11

言葉で語るぐらいなら、映画は要らない。現象が語るから、映画の意義がある。台詞には、無駄が多い。そもそも、台詞は現象の一つなのだ。

対話は2人。
議論は3人以上。?

「しかし、日本のウイスキーも良くなりましたなあ」

あんたの子じゃなきゃ、誰の子なのよ。
いや、別に疑ってるわけじゃないんだけどさァ
どうする積もりなのよ
困ったなァ
etoileという星

警察手帳を見た女、何も言わずコートの裾を握りしめる。

全ての行動には必然が伴う。
思わず--をしてしまう...という状況が重要なのだ。

脅し「そんな子はお父さんの子じゃないぞ」
その脅しは、父親が絶対という前提に成り立っている。

母親がいない。

お父さん、あの子はとっても可愛がっていた積りだがねえ。


画面を蝕む黒い影。天井に近いふすまは黒い。

満州の冬は寒かった。日赤の特別会員。

口では嘘を言うのが日本人。謙遜という。


私、子供なんて生みません。
もし生んだとしても、思い切り可愛がってやる。捨てたりするもんか。

いいのかい、あんた。もう大分這入ってるんでしょう?

状況・現象に追い込まれる登場人物達。

気不味さを纏う人間は、別れ際に「じゃ」という。

父たるもの、裏切ってはならない。裏切られることを覚悟する存在でなければならない。子の裏切りという結果を許さなければならない。責任という物だろうか。

明子の仏壇の前で唱えていた祈りの台詞はなんだろう?
父が哀しそうにしないのはなんだろう。

死に対してへっちゃらな顔をする男というのは、こんなにも哀しそうなものか。

彼の経験と重なる。
父親不在。
jungの欠点は、現在の状況が過去に色をつけてしまう点。
同じ経験でも、分析時点の心理状況によって、認識が変わってしまう。
例えば、ある男の経験、上司から叱責をうけた時と、女とセックスしている時では、父親の印象も変わってくるはずだ。詳しくは河合隼雄参照せよ。

彼の経験に対して、この映画は、
母親不在。
明子ちゃんはあっさりと死んだ。
あまりにアッサリ過ぎる感はあったが、そんなに悪くないとおもう。