2014年8月16日土曜日

松 戸

ホコリが空気に飽和。部屋の空気としては十分すぎるほど。

朝起きると喉がいがいがした。

出窓を開けて、たばこに火をつけた。コーヒーを持って。コーヒーはケニヤのアメリカーノ。少し辛い。
ノートパソコンから出るジャズの音。水道の蛇口から出る水の如く雑な音の流れ方。

雨に濡れた木の葉っぱ。なんの木だろう。葉っぱ自体が木陰となって下の方の葉っぱに淡い陰を差し出す。テーブルクロスとかカーテンを両手に持ってひらひらさせるように、ごく自然に確実に陰をこぼす。
上の方の葉っぱたちは、曇り空の灰色の光を特権的に享受する。堂々とさも当たり前のような表情で、そよ風をいなしながら腕を組んでいた。

私は、この葉っぱのグラデーションを美しく思った。葉っぱたちが織りなすパターンの連続性と、小川に渦巻く波のようなささやかなドラマ。素敵じゃないか。


子供のようにはしゃぐのが好きだ。ノルウェイで、雪に興奮したのをを思い出した。イングリは少し戸惑っていた。イングリがそれを見て喜んでくれたのを思い出した。僕は喜んでくれたことに戸惑いながら喜んだ。

こう思ったのはもう過去のことだけど。



ヂィィィィィィ、ヂィィィィィィ、ヂィィィィィィ、ゴウンゴウンゴウン、ヂィィィィィィ、シュコァーォ、シュコァーォ、ゴウンゴウンゴウン、ゴウンゴウンゴウン、ヂィィィ、ヴーンワーンワーン、ヂィィィィィィィィィィィ


音の拾い方は無意識的に主観的だ。

蝉の叫びにも似た鳴き声に、車や飛行機の音が雑じり、時々電車が自己主張の足音をばら撒く。


部屋のノートパソコンからは、テイクファイブが尊厳たっぷりに唄うのが聴こえる。


そよ風が忙しそうに右耳にぶつかって通り過ぎてゆく。さも忙しいふりをしながら。