朝起きると、女が泣いていた。
寝ている間に携帯を勝手に見たらしい。
ばかだねまったく。
へらへら笑ってごまかそうとしたが、
幸か不幸か、彼女は決定的な一文を読んだらしかった。
言い訳は無用だった。
さえない一日だった。
浅ましいことに、
共犯者を悪者にする事で応急処置を施した。
「なにかが壊れてしまった。」
寝る前に彼女はそう言った。
箱のなかの希望を信じて、ひとまず眠りについた。
だが、彼女はまた開けるだろう。
それにしても、女の泣き顔は美しい。