2014年5月17日土曜日

東京暮色

東京暮色

コノワタやら牡蠣やら男が二人、飲み屋。
東京暮色
旦那が店を出るときに映し出されるハットのカット。物体に説明させるカットの好例。

男はウーンしか言わない。
いや、そもそも喋る人間と相槌を打つ人間てやつがいるもんだ。だいたいみんな、相槌ばかり打ちたがる。

場所を明示する写真のような静止画は3つで十分。ひとつ6秒。

若い奴がたばこを吸う時、大体気合いが入っている。年寄りは、悩む人間は、ぼんやりたばこを吸う。
雨の振るシーン。26:11

言葉で語るぐらいなら、映画は要らない。現象が語るから、映画の意義がある。台詞には、無駄が多い。そもそも、台詞は現象の一つなのだ。

対話は2人。
議論は3人以上。?

「しかし、日本のウイスキーも良くなりましたなあ」

あんたの子じゃなきゃ、誰の子なのよ。
いや、別に疑ってるわけじゃないんだけどさァ
どうする積もりなのよ
困ったなァ
etoileという星

警察手帳を見た女、何も言わずコートの裾を握りしめる。

全ての行動には必然が伴う。
思わず--をしてしまう...という状況が重要なのだ。

脅し「そんな子はお父さんの子じゃないぞ」
その脅しは、父親が絶対という前提に成り立っている。

母親がいない。

お父さん、あの子はとっても可愛がっていた積りだがねえ。


画面を蝕む黒い影。天井に近いふすまは黒い。

満州の冬は寒かった。日赤の特別会員。

口では嘘を言うのが日本人。謙遜という。


私、子供なんて生みません。
もし生んだとしても、思い切り可愛がってやる。捨てたりするもんか。

いいのかい、あんた。もう大分這入ってるんでしょう?

状況・現象に追い込まれる登場人物達。

気不味さを纏う人間は、別れ際に「じゃ」という。

父たるもの、裏切ってはならない。裏切られることを覚悟する存在でなければならない。子の裏切りという結果を許さなければならない。責任という物だろうか。

明子の仏壇の前で唱えていた祈りの台詞はなんだろう?
父が哀しそうにしないのはなんだろう。

死に対してへっちゃらな顔をする男というのは、こんなにも哀しそうなものか。

彼の経験と重なる。
父親不在。
jungの欠点は、現在の状況が過去に色をつけてしまう点。
同じ経験でも、分析時点の心理状況によって、認識が変わってしまう。
例えば、ある男の経験、上司から叱責をうけた時と、女とセックスしている時では、父親の印象も変わってくるはずだ。詳しくは河合隼雄参照せよ。

彼の経験に対して、この映画は、
母親不在。
明子ちゃんはあっさりと死んだ。
あまりにアッサリ過ぎる感はあったが、そんなに悪くないとおもう。

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