2013年12月31日火曜日

79. イスタンブール

79. イスタンブール
起きた。まだ寝ようかなと思った。暗かった。すると、隣の親父がパッと電気をつけた。もう眠ることは不可能だった。消えかけたろうそくに水をかぶせたようなものだ。マッチも濡れてしまった。
夢を見ていた。
暗いインドの食堂を歩き回っていた。逆光のロータスが綺麗だなぁと思っていたら、監視員に銃を突きつけられた。
モザイク画、イスラム美術の対極。近付くとなにも見えない。
ミニアチュール、個人主義
モザイク画、集団整列主義、コントラスト少ない。輪郭くっきり。暖色。崩したら、ばらばら。なにもないことを描くことができない。漠然とした空白の不可能性。
どっかのファラオが入っていた黒い人型の墓石。翼を広げた人間のレリーフが彫り込んである。
石を彫り込んでつくった墓石。とにかくスケールがでかくて、驚いた。これを、今作ってみろと言われたらできる気がしない。気の遠くなるような繊細かつ地味な作業だろう。大きく、重く、冷たく、太い。そして滑らかだ。冬眠前の熊のような巨大な墓石。生まれ変わったところで、こんなものの中に閉じ込められては出られないのではないか。
現代は、美がないとして。いや、必要とされていない。
昔は、美が生活に直結していたのだ。美なくしては、生活が保てなかったのだ。美の影響力を持って、民衆を酔わせた。芸術というべきかもしれない。
あたかも観光客のためだけに作られたのではないかと思うほど、嘘くさいランドマーク。
よる飯は、昨日の食堂で食べた。ここは、今にも潰れそうだ。サラダとチーズ入り豆スープ。ただでついてくるバケットでお腹いっぱいになれる。
おつりをごまかそうとしてきた。2つで1リラの水を、1つ1リラと計算して請求してきた。いやいや、合計9リラでしょ、10リラじゃないでしょ。と突っ込むと、君には負けたよと言わんばかりに、笑いながらおつりをよこしてきた。
このレストランは本当にだめだと思う。店には、安い音でラジオが響く。空気を乱暴に揺すっているかのような雑で暴力的な音だ。従業員は6人もいる。お客さんもあんまり幸せそうではない。この空間がそうさせているのだと思う。落ち着かない蛍光灯の光で食べるご飯は美味しい訳がない。
同情交じりに笑いながら店を出た。
宿までの道、水を買おうとさっきの1リラを出すと、これは0.5リラだと言われた。やられた!あの親父、1リラと見せかけて0.5リラを渡してきやがったのだ。いじらしくて笑えてきた。

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