2013年12月31日火曜日

73. ハルドワール

73. ハルドワール
4時に目が覚めたが、寒かったのでそのまま9時くらいまで寝た。やれやれ町に出てみたが、まだ町も寝ぼけていた。クッキーとたまごケーキを買い、部屋でコーヒーを。淹れる前に一時間瞑想した。相変わらず私の心はお喋りで、まともに集中したのは5分足らずだった。それでも一時間は座っていた。今ではあの鐘の音が恋しく思える。
瞑想から覚め、歌謡曲とジャズがミックスした様な音楽を聴きながら、ベランダでコーヒーとラスクを齧っていると、汚い犬が食べものを探していた。インド人におどかされ、うろうろしていたので、ラスクにコーヒーを染み込ませて柔らかくしたものを、投げてみた。気付いた犬はがりがりとラスクを食べ、こちらを見てしっぽを振った。柔らかくしたはずなのに、まだ硬かったか。
それにしても、この犬に食べものを与えたことが、何かためになるのだろうか。幼い子どもを殺さないことで、その子の子孫が大繁栄というのは分かる。
しかし、この犬。汚くて、年老いていて、喧嘩をしたのだろうか、皮膚病だろうか、赤い生傷が白黒ぶちのすすけた毛皮に痛々しく浮かんでいる。あとは死に向かうだけだろう。
知恵を若い者に与えることの出来ない汚い犬。とても撫でることは出来ない犬。いつもお腹を空かした犬。
何を感じれば正しいのか分からずにぼんやり見ていると、美味しい匂いでも嗅いだのか、犬は何処かへ行ってしまった。ラスクが硬すぎたのだろうか。
大きな塊のまま、犬にさえ食われずにラスクは生涯を終えた。
そもそも、このラスクは何だか味気ない。ビスコティのような大きなラスク。ほんのり甘いが、硬くて、歯茎にぶつかる、痛いやつ。ジェイプルで20ルピーで買ったが、美味しくなくて、何日間も持ち歩いている。
どこに行くわけでもなく、一日中Wi-Fi拾ってうだうだしていた。就活をと思い、何社かエントリしたが、意味不明だった。おお、何と意識の高いHP。どういう人たちが何をして年収1200万稼ぐのだろう。想像もつかない。煩わしい礼儀無しに、社員に会って見たい。
人生で大事にしていることは?という質問に、食事と答えそうになり、思いとどまった。一言で終わってしまう。200文字もかけるのか。どんな奴がどんな答えを期待しているんだ。究極の答えは、呼吸・睡眠・食事・排泄だろうが。それを前提にして、何か答えるのだろうか。快楽とかユーモアとか答えたら、白目をむかれるだろうか。
朝めしと昼めしを兼用でチョーミンという名の焼きそばを食べた。味付けはかなり濃いめだ。しょっぱすぎるので、水をかけた。冷やしラーメンのようになったが、それでもしょっぱく、残った汁すらしょっぱかった。
なんだか物足りなかった。野菜を採りたかったので、ベジ・パルオというやつを頼んだ。ただの黄色い野菜チャーハンか、油こい。
よく噛まずに食べたせいか
胃の中油っぽくて、気持ち悪さを覚え猫背になりながら道を歩いた。ストリートチルドレンが2人、錆びた戦車のような大きなごみ箱を漁っていた。釣りに来た休暇中の学生の様に、ごみ箱からごみ箱へとポイントを変え、笑いながら白いプラスチックのガラ袋を担いでいた。
宿で再び音楽を聴いた。気持ち良い。
コーヒーを淹れた。あんまり美味しくない。この豆もそろそろ限界か?
水を少々加えた。美味しくなった。冷えると美味いんだ。
夕飯も、チョーミンを食べた。別の場所で食べたが、やはりしょっぱかった。そしてやはり何か物足りなかった。
しばらく歩いたところに、スタンドを見つけた。モモと、ベジバーガーを食べた。モモはけちな肉のようなものが入っていた。肉じゃないそうだ。ベジバーガーは、見かけほど美味しくはなかった。が、薄いきゅうりが良い味を出していた。
電車へ。
S8を探したが、そのような車両はなかった。おろおろしていると、どこからともなく別の車両がやって来て、連結した。ほうほう。
電車に乗るときに、インド人は殺到する。何をそんなに急ぐのか分からないが、列も気にせず殺到するのだ。インド人の中年女に舌打ちされた。なんだレディファーストと言いたいのだろうか、白い目で見ながら前を通してあげたが、睨まれた。やれやれ、可哀想な人たちだ。
私の席は、インド人のファミリーのど真ん中だった。騒がしい母がおっかない。苛立った忙しない早口。尖った口調。こんな母・嫁は嫌だ。生理だろうか、インド人にも生理はあるだろう。きっとそうだ。電話しながら怒鳴ったり甘えた声を出したり、忙しない。本能向きだしだ。子どもたちも母の口調に似ている。絶望的な家族だ。こんな人々を面倒見ているのだから、シヴァも大変だ。ぶっ壊したくなるだろう。あれ、シヴァは破壊の神なんだっけ。シヴァも本能に従っているだけなのかもしれないな。
隣では、インド人のおっさんがいびきをかいて臭い息を撒き散らしている。臭い。寝言もいう。臭い。うう、臭い。笑えてくる。腐った卵が干からびる少し前の臭いだ。これぞインド!ということにしておこう。それにしても臭い。お前なに食べたんだ、きゅうりの食べすぎじゃないのか。耳もとでげっぷするな、あくびに声は要らないだろ、痰を吐くな。幾つだ、何歳だ、お前は。こいつと同じ空気を吸うのは嫌だ。うう。すごい音だ、よくこんな音を出せるな。200度のお湯がぐつぐつ煮えている様なヤバい音だ。面白すぎる。
一人だけではない。二人、三人と、いつしかいびき大会が始まる。いびき同士が呼応し合い、共鳴し合い、決して美しくないオーケストラが始まる。くたばれ
彼女を連れてこなくて、本当に良かった。
おやすみ馬鹿なインド

0 件のコメント:

コメントを投稿