2013年11月30日土曜日

50. バラナシ

50. バラナシ
マハリシ

今は、夜の九時だ。ダージリンのホワイトティを飲みながら日記を書いている。

今日は起きたら十時だった。
嫌な色の鼻水と痰がでた。少し具合が悪い気がする。
セカンドフラッシュのダージリンティをポットで二杯とビスケットをたっぷり食べた。
I氏と日本食レストランへ行き、胡麻和え、ナスの煮物、かき揚げ海苔巻きとレッドブル飲む。300ルピー近く。

店を出て、I氏と別れ、麻のパンツを買いに行った。そこには日本語の本がたくさんあり、何時間か時間を潰した。ポールオースターの孤独の発明。父の死について書かれている。死と肉体、エトセトラ。

宿に戻ると、I氏は戻ってなかった。どうしようもなく暇だったので、買ってきたビスケットを猿にあげて遊ぶことにした。窓の網越しに差し出すと、すごい勢いでがっついてくる。面白くなって、試しにレモンの匂いのする石鹸をあげてみたが、利口な彼らは匂いを嗅ぐなり、馬鹿にするなといった様子で地面に勢いよく捨てた。
ネパールで買った不味いウイスキーの小瓶が残っていたので飲ませると、期待通りのしかめ面を見ることができた。もうそれ以上飲まないので、ビスケットに浸して無理矢理飲ませた。
宿に葉っぱが育っていたので、チョコレートに練りこんで食べさせたりもした。
きっとこの後は戦争だろう。

気がつけば、外は暗かった。

ポールオースターの小説が気になったので、買いに行った。昼間行った日本食レストランは、もう閉まっていた。

夜めしをどうしようか考えあぐねていると、なにやらインド人の行列が目に止まった。現地の人が並ぶくらいだから、さぞ美味い違いない。ぼんやり見ていると、店の主人が入れ入れと行列に勧めてきた。言われるがまま行列に並び、何分か待った。
しかし、並んでいるのは肌の色が黒い服の擦り切れた金のなさそうな人々ばかり。何かおかしいなと思いながらふと看板に目をやると、free meals for touristsの文字が。
なるほど、タダメシか!だからインド人がこんなにもお行儀良く並んでいるのだ。奥には給食のお盆のようにご飯の乗ったプレートが山積みされている。

テーブルは汚れていて、水とごはん粒だらけだ。汚い。体調が良くないのに、インド飯大丈夫かしらと思いながら、運ばれてくる料理を見る。
ごはんは冷たく、カレーは汁系である。特別にスプーンが運ばれてきたが、断って右手で食べる。

隣の爺さんは、山になったご飯を右の方からカレーをかけて器用に食べる。私は、カレーをごはん全体にぶっかけてしまったので、ごはんが汁を吸ってしまい美味しくなかった。
飯とカレーのお代わりが来た。よく噛んで食べた。
頑張れ私の胃袋。タフな胃酸でバイ菌をやっつけてくれたまえ!そう願いながら、冷たくかたくなったチャパティを必死に咀嚼した。あごがくたびれた。

丁寧にお礼を言って、店を出た。貧乏な人に混じって金持ちがタダメシを食ったのは気が引ける。珍しいのか、店の人々も私の顔を見ては、笑っていた。

途中、日本の本がズラリ並んでる店で、三島由紀夫の暁の寺をパラパラめくり、インド人を交え大富豪を一戦し、宿に戻った。

サクラホテル、アンクルパフ、あぐら。

インド人が、寝ながら唾を吐いている。しきりに。そして、呪文を唱え、ぷっぷと唾を吐く。

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