2013年11月30日土曜日

40. ダージリン

40. ダージリン
街灯と見紛うほど明るく大きな月。
人の生まれた形跡すらない森のなか。すなわち、人が死んでいった形跡もない。我々の生活が死を迎える可能性を徹底的に排除した森。

キットカットかたい。パキッと割れるのは良いが、ミルキーな口当たりは無い。プラモデルの破片をかじっている気分だ。

キットカット20、水20ルピー。
サモサ二つ20。

私はどうやら運転手の力量を過大評価してしまうようだ。

朝焼けを見たあと、ホテルでひと眠りした。チェックアウトを急かされ、10分前にホテルを後にした。入口には、年老いたインド人の団体客がわらわらしていた。狭い階段を、我先に登ろうとするインド人たちを待って、ようやくホテルを出ることが出来た。やれやれ。

昨日調べておいたホテルを目指して歩く。朝8時ごろ。小学生や中学生だろうか。制服を身に纏った育ちの悪くなさそうな子供たちが手を繋いで学校に向かっている。なかには、スクールバスを待つ姿もちらほら。

ホテルを探すと同時に、古本屋を探した。地球の歩き方を求めて。しかし、ここには日本語のガイドブックを置くような気の利いた本屋は無く、文学やインド、ネパール関係のカルチャーブックを置く店が多かった。


ホテルはどれも高かった。3000ルピーがゴロゴロして、ご丁寧に壁にはタイルで組んだ料金表が掲げられていた。強気だ。一応、部屋を見るも、何処も彼処も広々とした贅沢なつくりだった。
値下げもする気にならず、とぼとぼ歩いた。

最後に、10分くらい歩いたところのクラシックゲストハウスを訪れた。
トリップアドバイザーにも載っていた居心地の良さそうな宿だ。値段は1000ルピーと、これまた高いが、ここを出れば物価の安いネパールが待っていると思うと、もうどうにでもなれという気持ちになってきた。

一応、部屋を覗くと、広い部屋にベッドが二つ、ソファが二つ。
窓の外にはバルコニーがあり、山々が一望出来る。さらに、眼下には地元の小学校があり、子供たちがはしゃいでいる様子が楽しめる。小さいが暖房器具もついていて、ホットシャワーも問題なさそうだ。

スタッフも気持ちの良い接客で好感が持てた。

ここに決めた。


昨日壊したヒーティングコイルを直し、湯を沸かしてダージリンティを淹れた。しかし、妙だ。
これは、緑茶だ。ダージリンティではない。
とはいえ、飲み干し、茶屋に文句を言いに行ったら、快く交換してくれた。

マラドンを二つ食べた。30ルピー。

町をぶらつき、クッキーとビスケット、りんごとみかんを買い、焼きそばを食べた。
130.90.30ルピー。
宿で再びお茶を淹れ、クッキーを食べた。
夕焼けを身に町へ出るも、少し遅く、辺りは暗くなってしまった。
この時間は、太陽よりも街灯やネオンの方が頼もしく感じられる。
近道のつもりで下って行った小道は、地元の小汚いマーケットに繋がっていた。
こっちの道は、総じてアップダウンが激しい。山だ。
チャイナタウンさながらの人ごみ。だが、どこか暗く人々も黒い。

歩き回る。

1400ルピーでチケットを取る。明後日。
クッキーとかを30ルピーで買う。
ファーストフラッシュとオータムフラッシュのブラックティをそれぞれ100g400ルピーで買う。
昨日買った紅茶は何だったんだろう。。

140ルピーでウイスキーを買う。べらぼうに不味い。スコッチとインドのウォッカを混ぜたモノらしい。べらぼうに不味い。べらぼうに。後味が、氷結といえば、分かるだろうか。とにかくべらぼうに不味いのだ。

150で、チリチキン定食を食べた。野菜たっぷりだ。
インド人たちと、じゅるじゅる音を立て、スープをすすった。10歳にも満たないであろう少年は、恥ずかしそうな微笑みで客に愛されていた。外国の紙幣を集めているらしい。

部屋に戻る。
とても静かだ。

寝ようか。




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