2014年1月31日金曜日

100. ローマ

100. ローマ
ねじまき鳥クロニクルの実写版といったところか。知らない女から電話がかかってくる。全裸になれと言われた。
カプチーノ
12:59、ハウスワイン。
カルボナーラ。卵チャーハンのよう。チーズ。炭焼きチャーシューのような歯ごたえのあるベーコンが美味。
ピッツァはカリカリ。
野菜が食べたい。
ローマは黄色。肌色。赤色。
真実の口は、芋粥と同義に感じた。
手を入れようが入れまいが、どちらでも良い気がした。
彼は一人だったし、イヤホンからはドアーズのthe endが流れていた。行列には中国人の団体客が目立った。至近距離で欧米人がキスを始めた。どういう気持ちでキスをしているのかいささか気になったが、これでいよいよ逃げ出すことは出来ない気がした。
ジムモリソンは母親を犯した。16:22。くもり空。
おもちゃを誰かに取られることを恐れた子供のように、仲間に対して嫉妬して飼い主にへばりつく気の小さな犬のように、男はひたすら寄り添い擦り寄っていた。
女は小柄だった。ジーンズに合皮のジャケットを羽織り、写真をインスタグラムにアップするのに夢中だった。欲のない妹らしい振る舞いだった。
彼はロサンゼルスの女に思いを馳せた。
やって後悔すること。意識的にこれを実行するのは、彼にとって初めての体験な気がした。mr. Mojo risin. 16:31。32。
中国人に写真を撮ってもらった。足を入れたかったが、無理だった。
彼にとって最も詰まらないことは、誰でも出来ることをすることだった。誰もが見ている景色は、急に馬鹿馬鹿しく見えた。
現実味というのだろうか。現実のはずなのに何故か味気ない。不思議だ。
かといって、つくられた現実味は嫌いだった。味が濃くて、簡単に呑み込めてるビビットなハンバーガーのようなもの。何故ならそれらは後味が最悪だから。嚙み応えなく、口の中に入れるや否や、簡単に形が崩れる。そのくせ、歯の隙間にひっついて、口をゆすぐ必要に駆り立てられる。
うっ伏している乞食。がらくたにも劣るゴミを所有し、屋根のあるところなら何処でも寝る。
絶望的に顔を伏せた無気力な彼もひょっとすると、何かを書けば癒しが得られるのではないか。
私が全てを失って、その境遇に甘んじざるを得なくなっても。ひょっとしてら、何か出来るのではないか。
彼は宿に戻った。
ブラジル人の男が新しく部屋に入ってきた。次いで日本人の女。
3人でピッツァとワイン、パスタを食べに出かけた。
トレビの泉、パンテオンやらも散歩した。
宿に帰ったのは12時ごろ。
女は、ゆっくり入りたいという理由でシャワーを先に譲ってくれた。
彼は、シャワーにある石鹸を勝手に使うつもりだったが、あまりに良い匂いがしたので思い止まった。恐らく、勝手に使ったことがばれてしまうだろう。メロンとヴァーベナの良い匂いだった。
彼はその後2時間かけてロンドンの宿探しをしたが、iPhoneの不具合で全く捗らなかった。
日本にいる恋人とは2日ほど連絡を取っていない。彼女では無いのだから。
このまま覚めてしまえ。

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