なんてさみしいんだ、そう考えると。
僕はどこへも行きはしない。行けはしない。行く気もない。ただ、死を待つのである。
行ったこともない街へ。
どこへでも行ける時代に、どこに行けるというのだ!
あれこれと有名になったり、使命をこなしたり、自分を特別にしてゆく。
それはまあ羨ましいことだ。
しかし、勇気とか体力とか落ち着きが、足りない。1週間先がなんとなく見える。
自分の頭が向かうべき方向は何となく感じるが、それはパリではない。
人間、どこかへ行かないとダメなのだろうか。
ヂィィィィィィ、ヂィィィィィィ、ヂィィィィィィ、ゴウンゴウンゴウン、ヂィィィィィィ、シュコァーォ、シュコァーォ、ゴウンゴウンゴウン、ゴウンゴウンゴウン、ヂィィィ、ヴーンワーンワーン、ヂィィィィィィィィィィィ
音の拾い方は無意識的に主観的だ。
蝉の叫びにも似た鳴き声に、車や飛行機の音が雑じり、時々電車が自己主張の足音をばら撒く。
部屋のノートパソコンからは、テイクファイブが尊厳たっぷりに唄うのが聴こえる。
そよ風が忙しそうに右耳にぶつかって通り過ぎてゆく。さも忙しいふりをしながら。